特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:02 BRIDGE Co. 宮崎良人さん

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思う存分 メガネトークがしてみたい!

そうだ、あの人に会いに行こう。

メガネのことは大好きだけど、それ以上にメガネの話をするのが好き。
そこで、これまでお世話になった人や、自分が好きな人に会いに行き、
思う存分“メガネトーク”をするインタビュー連載を始めました!

file : 02 | BRIDGE Co. 宮崎良人さん

ひとり勝ちすることよりも
メガネ業界全体を盛り上げたい。

イメージ画像 1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:02 BRIDGE Co. 宮崎良人さん 撮影:藤井たかの

あまりの多忙ぶりに、「あと3人自分のコピーロボットがほしい!」と宮崎さん。初めてお会いしたのは2005年のこと、リアルデザインという雑誌のお仕事でした。

イメージ画像 2 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:02 BRIDGE Co. 宮崎良人さん 撮影:藤井たかの

これがクローゼットに隠されたBRIDGEの秘蔵っ子たち。アクティヴィスト アイウェアやロン・アラッドなどレアブランドばかり。棚おろしのバイトをするか真剣に検討中!

イメージ画像 3 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:02 BRIDGE Co. 宮崎良人さん 撮影:藤井たかの

アクティヴィスト アイウェアのオリジナルメガネケース。高級感があってなかなかいい。っていうか、これ欲しい……。棚おろしを手伝ったらもらえたりしないかしら。

「なにもないんですよね」

そう言って神戸の事務所に案内してくれた宮崎さん。白を基調にした事務所には仕事用の机にピストルズのポスター、足下にベース……うん、本当に何もない。と言いつつもクローゼットを勝手に開けると、アクティヴィスト アイウェアやロン・アラッド、ヴュードゥーシーなど、超レアブランドのメガネがわんさか! これはメガネ好きには完全なボーナスステージ! み、宮崎さん、1日中ここにいてもいいですかね……?

「ぜんぜんOK。っていうか、展示会前の棚おろしがメッチャ大変だから、藤井さん手伝いません? 報酬はメガネ1本現物支給。そうだこれ見てよ、アクティヴィストのメガネケース。あいつら専用のメガネケースを作るのはいいんだけど、勝手に送りつけてきて、そのお金を請求するってどうよこれ(笑)」

さて、BRIDGE代表の宮崎良人さんについて説明しよう。かつてはアラン ミクリの伝説の営業マンとして日本におけるハウスブランドの伝道師となり、ファンキーで前衛的だったアイシー! ベルリンを一般人にまで浸透させ、バートン・ペレイラをブレイクさせた。現在は複数ブランドのセールスレップ(販売代理人)であり、年2回開催されるメガネ展示会「BLOW」を主催し、優良メガネ店サイト「眼鏡名店街」のプロデュースなどを行っている。で、いきなり下世話な話ですが、「ボロ儲けしてる」とか言われませんか?

「よく言われます。みなさん見事に勘違いされていて、マジで儲かってませんから(笑)。……ちょっと真面目な話してもいい? いまメガネ業界のシェアが縮小しているなかで、必要なのは業界全体を維持、もしくは発展させること。それなのに多くのブランドが自分のところだけ生き残ればいいという感覚をもっているように見えるんです。もちろん資本主義だから、整理統合されて強いところが残っていきますが、『じゃあ眼鏡業界が1社で決まっちゃったらどうすんの?』と。100社あるうちの1社が生き残ればいいという考えは、僕は好きじゃない。そこには多様性が必要で、100社あったら5はつぶれても95は残ろうよと。そのために僕は儲からない展示会もやるし、お店をブランドにする手助けとして『眼鏡名店街』のサイトも運営します」

なるほど。確かにメガネの市場規模はここ10年で約6000億円から約4000億円に下がっている。でもフレームの購入数は増えているんだから単価はダウン! これって3プライスショップの影響かしら?

「僕はJINSやZoffが絶対悪だとは思っていません。ファストファッションやファストフードはどこにでもあって、3プライスはメガネ業界のなかの一部の層なんです。ただファストなメガネが9割になったらつまんないなって思うんです」

メガネはコンビニエントだけで
済ませられるモノじゃない。

イメージ画像 2-1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:02 BRIDGE Co. 宮崎良人さん 撮影:藤井たかの

宮崎さんのお気に入りがジェレミータリアンの「WASHINGTON SQUARE」。「アラン・ミクリの息子がこの若さでこんなに貫禄のあるクラシックなメガネを作ったのが凄い!」

街を歩けばユニクロがあり、洋服の青山があり、吉野家があり、マクドナルドがある。僕らのまわりはファストなもので溢れている。でも、実際のところユニクロは部屋着にしてデートでは着なかったり、時間やお金がないときにひとりで吉野家に駆け込むわけで、多くの人は“ファストな消費”を使い分けている。そして明確に線引きをしている。

「現状、メガネはその線引きが曖昧になっています。それは消費者にとっての“絶対価値”が見えないから。例えば、5000円の靴がちょっと恥ずかしいと思うためには、5000円の靴とジョン・ロブの靴との違いが明確にわからないといけない。それがわからなかったら、『じゃあ安いほうがいいじゃん』ってなるのは当然だと思うんです」

う〜ん、確かに。しかもクラシックがブームになってから“玉型一本勝負”みたいなノリがあって、とりあえず今ならウェリントンとボストンの中間みたいなの作っとけば、それっぽく見えちゃったりして。

「JINSもZoffも昔よりも遥かにデザインがよくなっているし、工場の技術も上がっています。『メガネを買うのはちょっと面倒だな』と思っていたところに、コンビニエントに買えるものが出てくれば流行りますよね。ただし、メガネはコンビニエントだけで済ませられるものでもない。それを早くみんなに気づいてほしいんです」

つまりは誰もがいいメガネを見分けられるように、日本国民の“メガネ民度”を上げる必要があると。それは大賛成! でも、ぶっちゃけ、メガネ業界のライバルって3プライスじゃなくて、毎月の家賃や、毎日の晩酌、財布を握る妻、カツカツでも月一回は通う風俗だったりする気がするんですよ。で、毎日の生活に必要な固定費やただれた欲望なんかをまとめて秤にかけると、真っ先にメガネが落とされてしまう……なぜ?

「いや、だからメガネ民度を上げる必要があるんですよ。話が戻ってますよ(笑)」

インタビューを終えて。

いつも思う。宮崎さんは“人を気持ちよくさせる天才”ではなかろうかと。相手が望む答えをドンズバで用意し、業界の裏話や旬な話題を惜しげもなく披露する。相手の気持ちを先回りしてテンポよく話す。ここでは書かなかったけど、業界のドロドロした話も聞かせてもらい、しかも記事に書いてもいいとまで。(怖すぎるからやめました……)。あんなヤバい話をあっさり掲載OKしてしまうところに、“重鎮”らしくない軽快さと、凄みがある。

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