特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:13 インスパイラル成城眼鏡店 春山英樹さん

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思う存分 メガネトークがしてみたい!

そうだ、あの人に会いに行こう。

メガネのことは大好きだけど、それ以上にメガネの話をするのが好き。
そこで、これまでお世話になった人や、自分が好きな人に会いに行き、
思う存分“メガネトーク”をするインタビュー連載を始めました!

file : 13 | インスパイラル成城眼鏡店 春山英樹さん

アングロアメリカンアイウェアに通った
青春時代からメガネ業界に

イメージ画像 1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:13 インスパイラル成城眼鏡店 春山英樹さん 撮影:藤井たかの

水玉×ヒゲがトレードマークの春山さん。大学在学中にメガネの魅力に目覚め、はじめて買ったのはフォーナインズだったとか。

イメージ画像 2 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:13 インスパイラル成城眼鏡店 春山英樹さん 撮影:藤井たかの

こちらがアングロアメリカンアイウェアの80'sヴィンテージ。

イメージ画像 3 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:13 インスパイラル成城眼鏡店 春山英樹さん 撮影:藤井たかの

アラン ミクリの90'sヴィンテージ。アセテートのフードが凝ってます。

水玉の人——。今回はインスパイラル成城眼鏡店の春山英樹さんの登場です。春山さんとは割と古い飲み仲間ですが、ちゃんと話をするのは初めて。で、のっけから大切な話を聞きますが、なんでいつも水玉なんスか?

「昔は水玉とか着てなかったんです。自分は洋服好きからメガネに入ったんですが、フランスの展示会に行ったときにあっちのみなさんは割と“表現が自由”で、自分も少しずつ違う服装をしていたら引くに引けなくなったみたいな(笑)。たまに地味なシャツを着ると、お客さんから『調子悪いの?』って言われて。でも長いスパンで見たら水玉でも微妙に変化しているんですよ、気づいてました?」

そんなの知らないッスよ、フォロワーじゃないし(笑)。じゃあ気を取り直して、メガネ業界に入ったいきさつから。

「19歳の大学時代にモードオプティーク(メガネ専門誌)が発行されて、メガネ面白いなって思ったんです。当時の住まいが小田急沿線で、フォーナインズを扱っている店を探して、成城学園前にあった『アングロアメリカンアイウェア』に通うようになって。就職活動のときにメガネ業界に進もうと思ったときに、アングロの人にメガネ屋になりたいって話をしたら、新店がオープンするからって声をかけてくださって。大学4年からアルバイトで入って、卒業して正社員になりました」

へえ〜、大卒でメガネ好きが高じて業界に入ったんですね。ちなみに「アングロアメリカンアイウェア」は一世紀以上の歴史をもつイギリスの老舗ブランドで、その名を冠した同店は日本で初めて「アングロアメリカンアイウェア」を紹介したセレクトショップの先駆け。2000年に2店舗目のインスパイラルができ、2004年に2店舗をビルの1階と2階にまとめたのが今のインスパイラル成城眼鏡店です。ふ〜、説明が長い! インスパイラルさんってヨーロッパブランドが強いですよね?

「2店舗の時代はかなりブランド数が多かったんですが、1店舗にまとめたときにブランド数を絞って、その分、モデル数や情報量を増やしました。例えば、リンドバーグは100本前後扱っていて、ある程度まとまったバリエが見られるんです。年一回、リンドバーグを500本くらい集めてフェアをやっていますが、毎年ファンが来てくれますよ。ブランドを絞って、モデル数や情報を多くしたことが、ヨーロッパブランドに強いというイメージにつながったんだと思います」

メガネの流れってここ6〜7年で変わったと思うんです。簡単に言えばヨーロッパからアメリカに。新しいデザインから古いデザインに。で、いろんな店がその流れにのってシフトチェンジするなかで、ブログとか見てるとインスパさん変わってねぇな〜って(笑)。

「変わってないですね(笑)。扱ってるブランドも2004年からほとんど変わってません」

ここ数年のヨーロッパブランドって、一部をのぞけばメインストリームから外れたイメージがあったんですが、そのへんってどうなんスか?

「根強いファンは多いですよ。アラン ミクリやラフォンの新作が入ったら必ず見に来てくださるお客さんがいます。ミクリなら150本くらい扱っていて、ヴィンテージもありますよ。ミクリが生まれて30年以上経ちますが、それだけ歴史があると一周して時代があってくる。それでヴィンテージフェアを開催したんです。90年代後半からミクリを知っている方はいますが、『昔のミクリはこうだった』ってのを知っていただきたくて。逆に昔から知っている方には、『このミクリのテイストって面白いね』、みたいなのをもう一回お伝えできるタイミングじゃないかと思って」

70年〜80年代のとんがったミクリもいいけど、いま見ると90年代が面白いですね。

「あの頃はいい意味でデザインを重視してコストとか考えずに、今やったらすごい金かかるんじゃないか見たいなのをつくっています。それがあったから今のアラン ミクリがあるんです」

“街のメガネ屋”さんが
好きなモノを集めたら……

イメージ画像 2-1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:13 インスパイラル成城眼鏡店 春山英樹さん 撮影:藤井たかの

“安藤忠雄的”なコンクリ打ちはなしの店内。1階がフォーナインズを軸とした国産ブランドやスポーツブランド、子ども用メガネ。2階にはアラン ミクリやラフォン、リンドバーグといったヨーロッパブランドが。

イメージ画像 2-2 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:13 インスパイラル成城眼鏡店 春山英樹さん 撮影:藤井たかの

春山さんお気に入りの1本はサイオスの「TRICERATOPS」です!「これ掛けて小田急線に乗ったら注目されると思ったら、逆に目をそらされるだけっていう(笑)」

人気のオリバーピープルズとかやらないんスか?

「メガネフレームはやってないですね。……でも何かの機会があればやっていく魅力があるブランドかなって思います」

なんですか、その歯にものが詰まった言い方は(笑)。ここ数年ってクラシックがトレンドだけど、そこにのっからないのは勇気あるなと思って。

「うちは山の手から少し離れるから、トレンドをストレートに追う感じではないんです。スタンスとしてはセレクトではあるけど、“街のメガネ屋さん”。メガネ屋さんって必ず街に1件はあるじゃないですか。それってお医者さんみたいなもので、いいメガネ屋が生活圏内や住まいの近くにあった方がいい。街のメガネ屋さんが自分たちの好きなモノを集めたらこうなったって感じです。今はクラシックがトレンドですが、どれだけ取り入れるかは微妙なサジ加減があって。山の手の内側とはセレクトが違いますね」

地域密着型ってことかな。で、成城マダムがカイエン横付けするっていう。

「そんなお客さんばっかりじゃないですよ(笑)。うちの考え方としては機能性でフォーナインズ。機能性+αの違うテイストでリンドバーグやアイシーベルリン。色遣いや華やかさで男性に寄るとアラン ミクリ、女性に寄るとラフォンです」

すごい、見事に王道だ!

「そう言われると(笑)。自分たちの感覚で王道を続けてきただけですが、うちはあまり景気の浮き沈みと、ブランドのセレクトは関係ないんです。例えば、景気が落ち込んだときにカンフル剤として新しいことをするのって、15年前は成立していたと思うんです。うちでも埼玉や東京の真ん中を超えてお客さんが来てくれたり。でも、いまネットには尋常じゃないくらい情報があって、うちで扱っているブランドを見たければ、渋谷、原宿、青山をまわれば全部見れます。それでもお客さんが来てくださるってのは、結果的には王道ですけど、愚直にブランドの良さを伝えてきたからかなって」

変わることなく好きなブランドを扱って、紹介してきたその“熱量”がお店の価値を生んだのかな? ちなみに春山さん、今の肩書きは?

「一応、代表……ですが、み、みんなでやってます!」

マジっすか! てっきり水玉の服着てポテト食ってるだけの気のいい兄ちゃんだと思ってました。そんなエラい人だったとは……。次回からゴチになります!

「いや、ワリカンでいきましょう(笑)」

インタビューを終えて。

う〜ん……春山さん大人ですね。インタビュアーとしてはもっと本音を聞き出したかったけど、上手くかわされた感じです。まぁ、僕の落ち度だし、彼の立場上しょうがない部分もありますが、まだ春山英樹という人間が見えません。今度、酔い潰してみます!

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