特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:07 ポンメガネ・松沢文平さん

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思う存分 メガネトークがしてみたい!

そうだ、あの人に会いに行こう。

メガネのことは大好きだけど、それ以上にメガネの話をするのが好き。
そこで、これまでお世話になった人や、自分が好きな人に会いに行き、
思う存分“メガネトーク”をするインタビュー連載を始めました!

file : 07 | ポンメガネ 松沢文平さん

彼らが元気に成長していけるように
僕はポンメガネで頑張ります。

イメージ画像 1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:07 ポンメガネ・松沢文平さん 撮影:藤井たかの

ポンメガネの最終目標は? という質問に。「日本中どこにいる人でも名前を聞けば知っているような店にしたいです」と松沢さん。

イメージ画像 2 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:07 ポンメガネ・松沢文平さん 撮影:藤井たかの

カフェのような空間の浦和店。

メガネのセレクトショップは都市圏に集中していますが、「埼玉」という立地ながらも、浦和と大宮の2店舗で展開しているのがポンメガネです。今回ご登場いただいたのは、僕の飲み仲間でもあるポンメガネの松沢文平さん。松沢さんとの関係はちょっと複雑で……。そもそもポンメガネを立ち上げた故・川岸剛気くんと僕が仲良くて、彼が亡くなった後に松沢さんとの交流が始まったのです。松沢さんは、中学・高校時代から川岸くんとは仲が良かったとか。

「僕は川岸くんに誘われてメガネ業界に入ったんです。高校卒業後の進路を考えていたときに、川岸くんから『メガネの専門学校に行かない?』って誘われて」

まるで芸人の「吉本一緒に入らへん?」のノリじゃないですかッ。

「まさにソレ(笑)。僕は早稲田眼鏡専門学校(現・東京眼鏡専門学校)を卒業してメガネの製造や卸をしている会社に就職し、新宿三越にある『ガラ アイウェア』という店に配属されました。27歳のときに店長になったんですが、その頃から川岸くんにポンメガネに入らないかって誘われて」

2009年に松沢さんがポンメガネのスタッフとなり浦和店がオープン、2011年には1号店の新白岡店が大宮に移るわけです。個人的には、「金と女に友だちを巻き込むな」ですが、川岸さんと松沢さんのケースは希有な成功例。で、ここからは自分としては避けては通れない話。2012年の2月に川岸くんが心筋梗塞で亡くなって、とてつもなく大変だったと思います。そのあたりの話を……。

「……もちろん大変でしたし、凄く気をはっていました。僕はもともと雑誌に出るような人間じゃないし、裏方に徹しようとも思っていたんです。でも、彼が先手を切ってメディアに露出していたので、そこはやっていこうと。あと、川岸くんのやり方で、どんな難題でも『やらない』とは言わないってのがあって。例えば、10カーブの大きなフレームでレンズ径が足りないときに、普通ならできないと言うところをレンズの溝にクッションを入れてもたせたり。そんな感じで、チャレンジせずに断ることはありません」

なるほど。僕はずっとポンメガネを凄くマイペースな店だと思っていて、それは埼玉という立地もあるけど、なにより松沢さんが川岸くんの死と向き合っているからじゃないかと思うんです。業界内をリサーチして自分たちの存在を確認するんじゃなくて、「川岸くんならどうするか?」。そこを店づくりの基準にしているんじゃないかって。

「ポンメガネは川岸くんの印象が強かったけど、今は自分のスタイルをもっていくしかないと思っています。なにより川岸くんの2人の子どもたちの成長を見守っていきたい。『どんな風に成長してくれるかな? 元気で育ってくれればいいな』って。これからも彼らが元気に成長していけるように、僕はポンメガネで頑張ります」

買わないんですけど……
お店に行ってもいいですか?

イメージ画像 2-1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:07 ポンメガネ・松沢文平さん 撮影:藤井たかの

ポンメガネ浦和店の2階はオリジナルブランド「テフ」の工房。

イメージ画像 2-2 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:07 ポンメガネ・松沢文平さん 撮影:藤井たかの

松沢さんのお気に入りはクリスチャン・ロスの「CR F10」。「ゴールド×クリアで見た目はメカニカルだけど、軽くて印象がキツくない」。

あくまで持論ですが、ポンメガネの良さは“敷居の低さ”。とにかく居心地が良くて、お客さんとの距離が近い。こないだ浦和店に行ったときなんか、2階の待合室でお客さんが「助六」食ってたし……。ツレの家かと。

「カッコつけたくないっていうのは昔からありますね。最近も大宮店で昼に来たお客さんが8時間いましたよ。店を手伝ってくれたりして、こっちも助かっています(笑)」

僕はメガネライターと名乗りながらも、実は知っている人がいるお店は行きづらいんです。「行ったからには買わなきゃいけない」って強迫観念があって、「うぃ〜す」みたいなノリにはなかなか……。

「買わなくてもぜんぜん大丈夫ですよ。お客さんと話をしているのが好きだし。高校生のお客さんに彼女ができて紹介してもらったり、お客さん同士がうちで仲良くなることもあります」

うんうん、松沢さんは本当に話がしやすい。どんなに下世話な話をしてもいつも大爆笑してくれる。“全肯定”の人だ。だからなのか、たまに噂を聞きますよ。「松沢はよく売る」って(笑)。

「いや〜、そんなことないですよ。取り立ててなにか秀でているわけじゃないし、本当に普通というか……。ただ昔から自分のこづかいで自宅のクーラーを買ったりしていたので、金銭感覚は優れていると思います。でも、やっぱり人と話して楽しむのが好きなんです」

メガネ屋って床屋みたいな存在だと思うんです。どの駅にも必ず数件あって、絶対になくならない商売。カットの技術も重要だけど、いちばん重要なのは切る人。その人が気に入っているから同じ床屋に通い続ける。そういう意味でポンメガネにリピーターが多いのも納得。なにより“メガネ界のEXILE(MATSU似の意味で)”、松沢さんがいるからでもありますが。

「それやめてくださいって(笑)。たまに言われるんですけど、似てますかね?」

インタビューを終えて。

松沢さんはとにかく聞き上手で、どんな話をしても新鮮なリアクションをくれます。ファッション誌から抜け出したような格好もしていないし、良い意味で普通。それでいてトレンドを分かっていて、レンズのセレクトはハイスペックではなく、程よいところを勧めてくれる。このちょうどいい感じと心地よさが、わざわざ埼玉に出向かせる秘密なのでは。

ポンメガネ浦和店

ポンメガネ浦和店 イメージ

ポンメガネ大宮店

ポンメガネ大宮店 イメージ

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