特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん)

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思う存分 メガネトークがしてみたい!

そうだ、あの人に会いに行こう。

メガネのことは大好きだけど、それ以上にメガネの話をするのが好き。
そこで、これまでお世話になった人や、自分が好きな人に会いに行き、
思う存分“メガネトーク”をするインタビュー連載を始めました!

file : 06 | blinc 荒岡兄弟 (荒岡俊行さん・荒岡 敬さん)後編

「売れない売れない」のメガネ業界に
新たなマーケットをつくる!

イメージ画像 1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん) 撮影:藤井たかの

お兄さんの荒岡俊行さん(左)と、弟の荒岡 敬さん(右)。「これまでファッション業界はサングラスがメインだったけど、いまは伊達メガネに逆転してきました」とお兄さん。

イメージ画像 2 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん) 撮影:藤井たかの

荒岡俊行さんが手掛ける「DA-TE」のFacebookページ。伊達メガネのビフォー・アフターが載っています。www.facebook.com/eyewear.date

イメージ画像 3 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん) 撮影:藤井たかの

荒岡 敬さんが手掛ける「Megane GENTS&美女」のサイト。学芸員やミュージシャン、デザイナーなどの業界人によるメガネトークや、旬なスタイリングが載っています。http://meganegents.blinc-vase.com

前回に引き続き、blinc(ブリンク)の“荒岡兄弟”にご登場いただきます。スタイリスト御用達の店としても知られるblincは、「ロウガンナイト」などのイベントを仕掛けたり、webで旬な情報も発信していますが、メディア戦略とかあるんですか?

荒岡 敬さん(以下:弟)「それがまったく考えてないんですよ、って言うとバカっぽいな(笑)」

荒岡俊行さん(以下:兄)「メディア戦略はないけど、いま『DA-TE』というイベントを仕掛けています。10月26日から全国30店舗で順次、伊達メガネのキャンペーンを行うんです。フォーナインズのお店やオプテックジャパンが経営するアイヴァンも参加予定ですよ。で、そもそもメガネに興味がある人にとってはいま充実して面白いんですけど、メガネを掛けない人には“縁遠い世界”だと思うんです。目が悪くてもメガネに興味がない人もいるし。そういった人たちを取り込めたらメガネがもっと盛り上がるんじゃないかと思って」

弟「blinc vase(ブリンク・ベース)では、伊達メガネがすごく売れてますよ。ここ数年、洋服屋でメガネを置くようになった影響が大きくて、その流れで調整とかできないなら、セレクトも豊富にあるメガネ屋で買った方がいいんじゃないかみたいな認識になってきた」

——でも伊達メガネって昔からありませんでした? それこそ90年代から雑誌でさんざんやってきたと思うんですが。

兄「昔からありますが、ここまで盛り上がるのは最近の現象なんです。13、14年前にセリマの営業でアパレルショップに眼鏡を持って行っても『うちメガネ屋じゃないんで』って相手にされなかったし(笑)。あと、海外で伊達メガネってあまりないんですよ。海外はサングラスが主流だから、眩しさも防げない度なしのメガネは意味わかんないみたいな世界。ただ、最近はアメリカのバスケットボール選手が知的に見せるために、記者会見のときに伊達メガネを掛けたりと、少しずつ伊達が浸透しているんです」

——つまり、顕在化していない海外マーケットを見越して「DA-TE」を盛り上げていこうってことですか?

兄「はい。それが実現すれば、『売れない売れない』と言っているメガネ業界の起爆剤になるんじゃないかと思って」

——やっぱり「売れない売れない」、ですかね?

兄「そんなにじゃないと思うんですけどね……」

弟「僕の方はメガネをスタイリッシュに掛けこなす男女を紹介する『Megane GENTS&美女』というサイトをつくりました。お店ってひとつのメディアだと思っていて、それを外に伝えるためにwebなどで情報発信しています。ただ、ブログで商品は伝えられるけど、自分の考えているイメージや思想までは伝えられない。自分たちの思想を対外的に伝えるためにも、『Megane GENTS&美女』を立ち上げました。ただ、これ兄とはまったく打ち合わせしていないんです。だから僕も『DA-TE』はあまり知らない(笑)」

兄「僕も『Megane GENTS&美女』は知らないっていう。ちなみに、『DA-TE』のコンセプトは他力本願なんです。Facebookでひとつのアイデアをみんなでシェアして、プロモーションもシェアする。30店舗あったら労力もみんなでシェアするんです。メガネ業界って『言った人がお膳立てしてください』ってところがあるので、そうじゃなくて自発的に動いて、アイデアも店舗ごとに自分で決めてくださいっていうやり方。他力本願というか投げっぱなしかも(笑)」

——他力本願が上手く機能するといいですね。最初に「DA-TE」の話を聞いたときに、blincのプロモーションだと思ったんです。でも、他店舗で全国的に展開すると聞いて、広がりがあっていいなと思いました。

「そのへんはサラディストリビューションの三島 正さんが話を広げてくれて、勝手に仕事をシェアしてくれているんです」

——なるほど。海外マーケットという大きな目標があるなら、「DA-TE」を継続的に続けて日本全国に波及するといいですね。道行く人をつかまえて伊達メガネで変身させるイベントとかしても面白いかも。

スケボーからつくったメガネが欲しい!
仕入れてもらえませんかね……?

イメージ画像 2-1 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん) 撮影:藤井たかの

兄の荒岡俊行さん。両親がメガネ屋を営んでいたので、子どもの頃から壊れたメガネを分解して遊んでいたとか。

イメージ画像 2-2 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん) 撮影:藤井たかの

スケボーのデッキを加工してフレームにしたHolloway Eyewearのメガネ。質感がアンティーク家具みたいで面白い。仕入れたお店があったら連絡くださ〜い。(写真は公式サイトより)。www.hollowayeyewear.com.au

イメージ画像 2-3 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん) 撮影:藤井たかの

春の展示会で思わず2本発注しちゃったアクティヴィスト アイウェアのコンビフレーム。とりあえず100点。

イメージ画像 2-3 特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:06 blinc・荒岡兄弟(荒岡俊行さん・荒岡 敬さん) 撮影:藤井たかの

荒岡俊行さんのイチオシはオーストリアのロルフ スペクタクルズ。「伝統工芸チックなあか抜けない木製メガネとはまったく別物です」。

では、最後に極めて私的な話を。オーストラリアのHolloway Eyewearってご存知ですか? スケボーを削ってハンドメイドでメガネをつくってるんです。コレ欲しいんですけど、仕入れてもらえないでしょうか……。

兄「それ初めて聞きました。でも、スケボーの廃材を使ったメガネって結構あるんですよ。アメリカにもいくつかあります」

弟「確かスケボーのデッキだと堅いんですよ。以前、作っている人に話を聞いたら、デッキのアールをテンプルに使うとか決まっちゃうらしい。日本にもありましたよ」

——堅いとフィッティングが難しいかもなぁ……。あと僕がハマっているアクティヴィスト アイウェアの取り扱い店が少ない! とにかく素晴らしいブランドで秋の展示会でも発注したから合計7本持ってるんですよ。

兄「それ日本でいちばん持ってるんじゃないの(笑)。アクティヴィストは誤解されているけど面白いんですよね。コンセプト聞くと納得します」

——そうなんです。テンプルが二股だからスポーツ系に思われがちだけど、“ヴィンテージの自転車に乗るときのためにつくられたメガネ”だから、すごく都会的でいまのアメリカのカルチャーの空気を感じる。

兄「今年の春にブルックリンで、街中を会場にして夜にピストバイクのレースが行われたんです。ただ、アメリカでもさすがに危険だからダメだってことで、場所や時間の告知は一切せず、警察が間に合わないように直前に仲間内だけに告知を出してレースをしたとか。そのレースの特別モデルをアクティヴィストがつくっていたんです」

——それ絶対に欲しい! いつ入るんですか?

兄「仕入れたかったけど、日本だとピストバイクがNGだからダメになって。それより藤井さん、アイシー! ベルリンが好きならロルフ スペクタクルズは絶対に好きだと思うな。木なのにフィッティングのことも考えていて凄いですよ。木が顔に馴染むってのはアイシー! ぐらいの感動がある」

——ロルフ スペクタクルズは欲しいけど高いんですよ。でも1本ぐらいは買ってもいいかな……。いかんいかん、こんな話をしているとまたメガネ貧乏になってしまう……。

インタビューを終えて。

荒岡兄弟に会うと、いつも海外の展示会やデザイナーから仕入れた旬な情報を提供してくれます。なにより、自分が面白いと思うメガネを世界中から見つけてくる嗅覚と行動力はさすが。この嗅覚と行動力が衰えないうちは、blincのクオリティは保たれるんだろうなと勝手に思ってます。「DA-TE」に関しては、一過性のイベントや話題づくりで終わらずに、継続してもらえるとうれしいです。

blinc aoyama(ブリンク青山本店)

  • 住所/東京都港区南青山2-27-20 植村ビル1F
  • 電話/03-5775-7525
  • 営業/11:00~20:00 月曜休み
  • http://blinc-aoyama.com
blinc aoyama(ブリンク青山本店) イメージ

blinc vase(ブリンク・ベース)

  • 住所/東京都港区北青山3-5-16 1F
  • 電話/03-3401-2835
  • 営業/11:00~20:00 月曜休み
  • http://blinc-vase.com
blinc vase(ブリンク・ベース) イメージ

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