特集:そうだ、あの人に会いに行こう。 file:23 AHLEM アーレム・マナイ・プラットさん

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思う存分 メガネトークがしてみたい!

そうだ、あの人に会いに行こう。

業界人と思う存分“メガネトーク”を楽しむ今連載。今回はシルモ・パリ2017で
インタビューしたAHLEMのデザイナー、アーレム・マナイ・プラットさんが登場します。
彼女はCFDA/VOGUE ファッション・ファンドのファイナリスト10組にも選出された注目人物です。

file : 23 | AHLEM アーレム・マナイ・プラットさん

子どもの頃のクリマスプレゼントは
メガネをおねだりしていた!?

AHLEM(アーレム)は、フランスで生まれ育ち、LAを拠点とするAhlem Manai Platt(アーレム・マナイ・プラット)さんが、2013年に立ち上げたブランドです。フランスの眼鏡産地であるジュラ地方の職人によってハンドメイド生産されるフレームは、独特の味わいと都会的なセンスが同居しています。そんな彼女は、2017年度のCFDA/Vogue ファッション・ファンドの10組のファイナリストに、アイウェア業界から唯一選出されたデザイナー。メガネ業界だけでなく、ファッション業界が注目しています。


今回、シルモ・パリ2017に出展していたアレムさんに、現場でインタビューを依頼! 快く引き受けていただきました。まずは、アイウェアデザイナーになった経緯を教えてください。


「私は小さいときから凄くメガネが好きでした。両親がメガネや時計、カメラなど、そういったものを小さい頃から与えてくれたのです。いつも『クリスマスのプレゼントになにが欲しい?』って聞かれたら、「メガネか時計か、カメラが欲しい!」と言っていました(笑)。昔からそういったものが凄く好きだったんです」


AHLEM アレム・マナイ・プラットさん 1

クリスマスプレゼントにメガネって珍しいかも。メガネをモノとして好きだったんでしょうね。それから、それから?


「私はパリで生まれて、パリで育ち、ファッションブランドで仕事をしていました。 Acne(アクネ)やPRADA(プラダ)でバイヤーとして働いていたのです。当時、アートが好きで、趣味で絵も描いていました。プラダで働いていたときに、簡単なメガネのスケッチを描いて、それを友だちに見せたところ、『凄くいいから絶対にやったほうがいい!』と言われたんです。そのときの彼らのリアクションが最初のステップになりました。そこからフランスのメガネ工場に行って通うようになり、後に自分のアイウェアブランドを作ったのです」


アーレムさんはジュラ地方のオヨナ地区の工場を何度も訪れて、細部に至るまで多くの職人とディスカッション。納得のいくフレームを作ることができた末に、ブランドを立ち上げたそうです。

上品かつ控え目であること、
メガネのディテールを大切にしている。

では、メガネをデザインするうえで大切にしていることはなんでしょう?


「メガネのディテールを大切にしています。たとえば、フロントの彫金やノーズパッドとか。この彫刻の模様も元々は自分がデザインしていますが、デザインが可愛いといった理由でつくっているのではありません。このサングラスのカッティングは、光を集めて華やかに見える役割をもたせています。そういった細かいディテールが大切なのです。そして、思い出してください。私が好きなのは時計。時計に彫刻があるのと同じように、メガネにも彫刻があるのです。また、私が今している時計を見てもらうとわかると思いますが、ロレックスみたいなものではなく、非常に上品で控え目でしょう。こういったデザインを目指しています」


AHLEM アレム・マナイ・プラットさん 2

確かにアーレムのフレームは上品でセンスがいいですよね。そしてディテールにちゃんと意味や目的がある。では、デザインのインスピレーションはどういったものから受けるのでしょう?


「もちろんフランスのパリ。パリは私の街だし、私の故郷。どこもかしこもパリのことだったら私はわかるわ」


あれ? でもLAに住んでいるんですよね。なぜLAで活動を?


「それは愛する私の夫がいるから(笑)。夫はアメリカ人です」

1964年東京オリンピックから
ロゴのインスピレーションを受けていた。

「そうそう、私、日本の文化が凄く好きなんです。実は、アーレムのブランドロゴは、1964年の東京オリンピックの日本人デザイナーが手がけたロゴにインスパイアされたものです。五輪の輪がメガネの形に見えると思ったんですよ」


AHLEM アレム・マナイ・プラットさん 3

スマホの画面は亀倉雄策氏が手がけた東京オリンピックのロゴ。右はアーレムのロゴ。


ホントだー! そう言われると、メガネの丸がオリンピックのロゴに似ている。なんだか親近感が湧いてきました(笑)。最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。


「凄く美しいものは誰かがつくれるかもしれないけど、なかには近くで見るとそうでもないものもあります。自分たちがつくっているメガネはディテールを大切にしていて、近くで見ても美しいものです。日本のファンの方は、ぜひアーレムのディテールを見てください」


AHLEM アレム・マナイ・プラットさん 4

アーレムのメタルフレーム。テンプルエンドは、ヴィンテージのセルロイドを使用。


ディテールとは嬉しいですね。メガネのディテールとか、日本人は大好物ですよ。さて、これから日本で目にする機会が増えるであろうブランド、アレム。このインタビューを読んだ人は、ぜひディテールをチェックしてください! そして、急なお願いにも関わらずインタビューを受けていただいたアーレムさん、ありがとうございました。事前に「人柄が素敵」と聞いていましたが、それがよくわかりました!

<DATA>

AHLEM
https://www.ahlemeyewear.com/

取材協力/GLASSES
http://www.glasses-co.jp/

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