メガネコラム : 015 [シルモ行こうぜ!③]シルモ歴約20年! メガネ界伝説の営業マンBRIDGE Co.宮崎良人

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メガネコラム : 015

[シルモ行こうぜ!③]シルモ歴約20年! メガネ界伝説の営業マンBRIDGE Co.宮崎良人

1967年からフランスで開催されているメガネの国際見本市「Silmo Paris(シルモ・パリ)」は、世界の名立たるハウスブランドが集結するメガネバイヤーの聖地。かくいう自分は2006年に取材したことがあり、今年は10年ぶりに行ってみようかな……ということで、急遽シルモ連載をスタート! 第3回は“シルモ歴約20年”という伝説の営業マン、BRIDGE Co.宮崎良人さんです。

シルモで出会った人たちとの
コネクションが生かされている

BRIDGE Co.の宮崎良人さんと言えば、alain mikli(アラン ミクリ)やic! berlin(アイシー!ベルリン)、BARTON PERREIRA(バートン ペレイラ)といった世界の名立たるハウスブランドを日本に広めた伝説的な営業マン。現在もMARKUS T(マルクス T)をはじめ、さまざまなブランドのセールスレップを行っています。ところで、宮崎さんの初シルモはいつですか?


「1998年だったかな。その頃はアラン ミクリに勤めていましたが、当時ミクリはシルモに出展していなくて、リムジンでお客さんを自社に連れて来て展示をしていました。で、その頃の自分はぜんぜんお客さんのアポがとれなくて暇だったので、勉強のためにシルモの会場をウロウロしてブランドの調査をしていたんです。入り口にずっと立って、通りすがりの人に挨拶するだけっていう」


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メッチャ下積みの感じですね。ちなみに1998年のシルモにはどんなブランドが出展していました?


「lafont(ラフォン)やl.a.Eyeworks(エル・エー・アイワークス)とかが出展していたけど、当時はまだハウスブランドにそれほど勢いがなくて、洋服などのハイブランドが強かった印象がありますね」


そのとき英語は話せました?


「ぜんぜん。シルモに行ったときに自分があまりに英語ができなくて愕然として、ミーティングも英語で皆目わからないし……。大ショックを受けて帰国してNHKの教育テレビを見て勉強しました」


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いまペラペラですよね。NHKでなんとかなるんですか?


「英語を覚えざるをえない状況になればイヤでも覚えますよ。だって英語を話せないと言いたいことが言えないし、職を失いかねないから」


それだけ修羅場をくぐったってことですかね(笑)。では、アラン ミクリを辞めたのはいつ頃ですか?


「2005年です。その後にアイシー!ベルリンにうつり、晴れてシルモに出展する立場になって。シルモではラルフと一緒に会場の通路でバトミントンして怒られたりしましたね(笑)」


らしい、エピソードですね。ちなみに、さまざまなブランドのセールスレップをされていますが、きっかけはシルモだったりするんですか。


「それはあるね。シルモに限らずヨーロッパの展示会って広いようで、眼鏡業界だから狭いんです。僕の場合はミクリ時代の同僚たちがいろんな会社にうつって、その人たちがブランドを初めて、日本でやってくれないかって話がくるんです。URBAND(アーバン)やVue dc...(ヴュードゥーシー)はそんな感じ」


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ミクリ時代からの付き合いというURBANDのCyrilさん。


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こちらもミクリ時代からというvue dcのみなさん。


「ロン・アラッドのフレームを扱っているpq Eyewear(ピーキュー アイウェア)も、営業チームのほとんどが元ミクリの人でしたね」


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10年来の付き合いのpq Eyewearのロン・アラッドチーム。


「KIRK ORIGINALS(カーク・オリジナルズ)のレップをすることになったのも、もともとジェイソン・カーク氏とシルモで顔見知りになったから声がかかったんです」


なるほど、下積み時代にシルモでウロウロしてたときのコネクションが、いま生かされるんですね。

シルモに行くメリットは
物事がスピーディに決まること

シルモと日本のメガネ展示会の違いってなんだと思います?


「日本の展示会に比べるとシルモはいろんなことがスピーディに決まる。それが面白いんですよ。出展者の目線でいうと、日本の展示会だとお客さんと名刺交換して、『あっ、これいいですね〜』とか言っても、発注がありそうでないときがあって。『一度会社に持ち帰って後日ご連絡します』ってことが多い(笑)」


「おいお〜い!」って感じですね。


「そうそう。でもシルモの場合は凄くスピーディに物事が決まっていくことが多い。『これいいですね』って、知らない人が適当にブースに来たと思ったら、ホントにたくさんオーダーをもらったり。それってつまり、“自分で決済できる人が来ている率が高い”からじゃないかな。そういう人ってホントにいいと思ったらその場で決めちゃうじゃないですか。それが展示会の活気にもつながる」


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決定権がない人が割とたくさんいて、かつブースを見てるってのは、良くも悪くも日本っぽい感じですね。あと、どうでもいい話なんですが、展示会にやたら「軍団」で来ているのあるじゃないですか、アレなんなんスかね(笑)


「日本の展示会で見る謎の景色だね。日本独自だと思います」


いや別に悪いことじゃないんですよ。ただ、ムダに存在感があるというか、アニメの後半で敵キャラがまとめて攻めて来た感というか……。まぁ極めてどうでもいい話なんですけど。

2016年は日本ブランドの
シルモ出展が増えている!

そういえば今年のシルモは日本ブランドの出展が増えているそうですよ。EYEVAN 7285(アイヴァン7285)を手掛けるオプテックジャパンや、AKITTO(アキット)が出展したり、opt duo(オプト.デュオ)が数年ぶりに出展したり。ここに来て日本ブランドがまた海外に目を向けている感じがします。


「日本はまだ景気が悪いので、海外を目指すブランドが増えていると僕は感じています。アジア圏のバイヤーは割とIOFTに来てくれますから、そういう意味ではシルモに出展すると世界中の人に見てもらえる。これはブランドとしては大きな利点ですよね」


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僕が初めてシルモに行った2006年はサポートとかはなくて、自力で本国サイトからエントリーしてなにかと面倒だったんです。いまはNPO法人の「フランス見本市協会」が間に入ってエントリーを手伝ってくれるから、以前より出展しやすいみたいです。


「そういうフォローがあると、出展のハードルが下がっていいですね。とにかく日本のブランドには海外を目指して頑張ってほしいと思うんですよ。僕はシルモに行くとなるべく日本ブランドのブースに顔を出しています。昔、FACTORY900(ファクトリー900)の青山さんに、ジェレミー・タリアンを紹介したりして。仕事にはぜんぜんならないけど、そういう出会いを紹介するのも自分の役目だと思っています。良いことだと思って勝手にやってるんですけどね(笑)」


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2014年にシルモに発出展したレチルドの伊藤次郎さん


それは間違いなくいいことですよ。この企画の意図もタイトルまんまで。国内のメガネシーンに閉鎖的な空気が漂うなかで、今は日本のブランドが海外で評価される潮目に来ていると思うんです。そして、メガネ業界の人にはもっと展示会を楽しんでワクワクしてほしいし、「新しいメガネに出会ってテンション上がってしゃべりまくる人」と話がしたいんですよ! その意味で「シルモ行こうぜ!」なのです。


「バイヤーの方も毎年同じブランドの新作を見るだけじゃなくて、新しいブランドを探してほしいですね。シルモには日本では知られていない面白いブランドが世界中から集まってくる。未知のブランドに出会えるのも魅力ですね」


お互い今年はシルモ会場で面白いブランドを探したいですね。さて、3回にわたってお届けしたシルモインタビューもこれでおしまい。次回からはフランス・パリからのシルモレポートをお届けします!

■Silmo Paris information

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