メガネコラム:011 イエローズプラス山岸稔明さん × ファクトリー900青山嘉道さん [後編]

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メガネコラム : 011

YELLOWS PLUS 山岸稔明さん
×
FACTORY900 青山嘉道さん [後編]

メガネに関するネタやメガネにあんまり関係のないネタも取り上げるこのコラム。
イエローズプラスの山岸稔明さんとファクトリー900の青山嘉道さんの対談もいよいよ最終回です。
最後に海外でのアプローチと今後の展開についてお聞きしました!

日本とヨーロッパの
セレクトショップの違いとは?

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ともに福井から海外で評価されるメガネを発信するイエローズプラスの山岸さんとファクトリー900の青山さん。日本のメガネは技術力だけでなく、デザイン力も認められてきたのです。

今や海外シェアが約7割というイエローズプラスと、2013年にシルモドールを受賞したファクトリー900。対談の最後は海外でのアプローチについて、デザイナーの山岸稔明さんと青山嘉道さんに聞きました。おふたりはフランス最大のメガネ展示会「シルモ展」にも出展していますが、どうやって顧客を増やしてきたんですか?

山岸 自分は決め打ちですね。ヨーロッパでも自分が置きたいお店はだいたい決まっているので、出展前に調べてお店に招待状を送っています。実際は展示会ではいろんなお店さんが来るので、セレクションを聞いてお断わりさせていただくこともあります。

青山 うちは真逆です。完全オープンで展示していて、まずはファクトリー900のメガネを見てもらい、気に入った人には、「どうよこれ?」みたいなノリでどんどん見せて、自然と商談が始まります。正直、置いてもらうお店の雰囲気はあまり気にしてません。というのも、よほど気に入らないと扱ってもらえない商品なので、ハードルが高いんです。

じゃあ、日本とヨーロッパのセレクトショップで違いってありますか?

山岸 自分、思うんですけど、日本や韓国といったアジアのアイウェアマーケットってすごく“流行にふれる”んです。逆にヨーロッパは意外と流行にふれてない。もちろん、流行にふれてはいるけど、触れない人もたくさんいます。セレクトに関しても店主の好みでやっているからブランドがカブらない。だから、ヨーロッパの店でも青山さんのお客さんとうちでカブるのは、フランスで1軒だけなんです。

青山 えっ! どこどこ?

山岸 パリのBOURGEOIS OPTICIENSさん。あとは1軒もカブってません。欧米のメガネ店は日本のようにいろんなブランドを仕入れたりせず、店主の好みでセレクトするからブランド数が少ない。パリなんて世田谷区くらいの小さな街なのにセレクトがカブらないところに、欧米の人たちが“自分の感性で仕入れている”って感じます。

日本だとイエローズプラスとファクトリー900の両方を置いている店はかなりありますね。日本の場合は良くも悪くも、マーケット重視でマス目を埋めていくような品揃え? ところでファクトリー900は2013年のシルモドール受賞に続き、2014年もフレーム部門でノミネートされましたね。今年は惜しくも受賞を逃しましたがが、いまの心境は?

青山 もうね、悔しくて、悔しくてしょうがない! でもそれは真摯に受け止めていますよ……はい。今年で9回目のシルモ出展になりますが、昨年シルモドールを受賞したことで、うちのことを知ってくれているお客さんが増えました。ただ、知っているのと取り扱うのはぜんぜん違う問題で……。ご新規さんが来て、「これがファクトリー900か。クレイジーだね! アメイジングでやりたいんけど、うちの店では売れないんだよ」とかね。

これまでと一緒じゃないですか(笑)。

山岸 僕は素直に凄いと思いますよ。うちは今年で6回目のシルモ出展になりますが、日本と同じで劇的な変化ってないんです。今までのお客さんはだいたい来てくれて、感触は良かったですよ。デザインが美しいと言ってくれたのが嬉しかったです。

山岸さんはシルモドールとかどうなんスか?

山岸 実はエントリーしたことないんです。あまり競争とか興味がなくて……。

非常に山岸さんらしい(笑)。

2015年2月14日にファクトリー900の直営店が
渋谷区神宮前のキャットストリートにオープン!!

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2015年2月中旬直営店をオープンするファクトリー900。「いやホントやることが多くて、毎日バタバタです」

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「FACTORY900 TOKYO BASE」は2月14日にオープン!
住所/東京都渋谷区神宮前5-21-21 MOON-SITE 1F

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「これからも変わらずにイエローズプラスを続けていきたい」と山岸さん。相変わらずブレません。

では、最後に今後の展望を聞かせてください。

青山 実は2月14日にファクトリー900の直営店「FACTORY900 TOKYO BASE」をオープンします。これまでコアな人たちに向けてやってきましたが、今後はより広い人に900の存在を知ってもらいたいんです。

業界やファンの間で話題ですよね。それにしても大英断! なんで直営店を出そうと思ったんですか?

青山 直営店は昔からの夢だったんです。世界に進出していくためにもやっぱり直営店は必要だなと。ずいぶん前から構想はあって、福井にするか東京にするかも悩んだんですが、渋谷区神宮前のキャットストリート沿いに決めました。ちょうど渋谷と原宿の中間あたりです。

でもなんで神宮前なんですか? 家賃、超高いッスよ。ファクトリー900なら秋葉原とか池袋とか、“あっち系のニオイ”がする街でも面白そうな気がしたんですけど。

青山 原宿や渋谷って日本のファッションや文化の発信地で、やっぱり僕自身、憧れや思い入れが強くって。

では、実際にどんなお店になるですかね?

青山 まだはっきりと言えないんですが、ファクトリー900のコンセプトである“フューチャーズアイウェア”と“工場ブランド”であることが伝わるお店づくりをしていきます。オープンから3月1日までの期間限定で、限定生産のオリジナルカラー生地でお好みのデザインモデルをオーダーできるイベントを行いますよ。

おおっ! セミオーダーはファンも嬉しい! それにしても工場らしさってのが気になります。門外不出の油圧プレス機とか店にぶっ込んだらダメ……ですよね? じゃあ山岸さんは直営店とかどうっスか?

山岸 うちはないですね。自分はこれからも変わらずにひとりでやっていくんで、イエローズプラスを今と変わらずに続けられたらいいなって思います。

これだけ海外にも展開していて、ひとりでやってるって凄いですよ。ぶっちゃけ、辛くならないですか? 「なんでオレがこんな些末な梱包までやんないといけねぇんだ!」みたいな。

山岸 ぜんぶ自分でしたいんですよ(笑)。誰かと一緒にやるとどこかで価値観を共有しないといけない。その共有させる仕事が苦手なのかもしれません。それにある程度は自分でお店を見たいし、商談の席に立ってメガネを掛けている姿を見ることが、自分にとって大事なんです。

なるほど。来年、大きな勝負をかけるファクトリー900と、これまで通り変わらないイエローズプラス。これまた対極な感じですね。最後に青山さん、なんかいつもより大人しい感じでしたが、なにか言っておきたいことは?

青山 やっぱりメガネは楽しいのがいい、そこにつきるので、業界も楽しくなるといいなって思います。

山岸 でも苦しい時代がないと楽しいって思えないよ。

青山 はっはっは。やっぱり山岸さんは大人だな〜。

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