メガネコラム : 013 [シルモ行こうぜ!①]“最速”でヨーロッパを軌道に乗せたメガネデザイナー、USH外山雄一

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メガネコラム : 013

[シルモ行こうぜ!①]“最速”でヨーロッパを軌道に乗せたメガネデザイナー、USH外山雄一

1967年からフランスで開催されているメガネの国際見本市「Silmo Paris(シルモ・パリ)」は、世界の名立たるハウスブランドが集結するメガネバイヤーの聖地。かくいう自分は2006年に取材したことがあり、今年は10年ぶりに行ってみようかな……ということで、急遽シルモ連載をスタートしました! 第1回はUSH(アッシュ)のデザイナー、外山雄一さんに話を伺います。

3ブランド合同でシルモに出展!
「TOKYO発」を前面に打ち出す。

インハウスデザイナーとしてキャリアを積んだ外山雄一さんが、2009年に立ち上げたUSHは、東京発のアイウェアブランドとして、短期間でメキメキと頭角を表し、2013年にはフランスで行われたシルモ展に初出展。わずか3年でヨーロッパ進出の基盤をつくりました。今回は外山さんのシルモ・サクセスストーリーを伺います。


「2103年の頃はまだコレクション数やデザインのバリエが少なかったので、最初はUSHとMASAHIRO MARUYAMA(マサヒロ マルヤマ)、megane and me(メガネアンドミー)の3ブランドで、「Tokyo EyEs(トウキョウ アイズ)」としてシルモに出展しました。展示場の2コマを仕切らずに3ブランドで使用して、日本人のグループが東京から発信していることを前面に打ち出せたと思います。ぶっちゃけ、ヨーロッパの人から見れば、僕らが日本人なのか中国人なのか韓国人なのかわからないと思うんですよ」


「シルモ・パリ2013」でのUSHのブース。Tokyo EyESとして3ブランドで出展。仲間との移動も楽しそう。


確かに、僕たちもフランス人とドイツ人とイギリス人の違いはわかりませんね。それにシルモで怪しいアジア人が1人でブースに立っていたとしても、向こうの人にとっては声かけるのハードル高いかも。


「そうそう。とはいえ、合同でやったことで、ブランドの差別化ができなかったりという反省点もあって……。毎年、宿題を持ち帰る感じです。2年目の2014年にはBobby Sings Standard, (ボビーシングススタンダード)も加わって4社で出展しましたが、ブースを分けてブランドごとの個性がわかるようにしました。翌年2015年にはフランス人のセールスレップと契約して、USH単独でブースを出したんです」

フランスの人気メガネ店「marc le bihan」で
アッシュのローンチパーティを開催!

ブランド単独でシルモに出展して、これまでと違いを感じましたか?


「ブースにフランス人のレップがいると、欧米人がみんな入りやすい(笑)。いい物をつくるのは大前提としてありますが、その前に僕らは海外でどうやって自分たちを見せていくのか、その見栄えの入口のつくり方も重要だと思うんです。日本のふすまの入口よりもドアの方が欧米人は入りやすい、みたいな」


「シルモ・パリ2015」でのUSHのブース。2013年に比べるとグレードアップしているのがよくわかります。


逆の立場で見れば、欧米人だけのブースだと入りにくいし、そこに日本人が1人いれば一気に入りやすくなる。これ、感覚的に大きいですね。フランスでは好調なんですかね?


「おかげさまで、今フランスは凄くいいです。「marc le bihan(マルク ル ビアン)」というパリで人気のセレクトショップがあって、7店舗くらい経営しているんですが、そのうちの6店舗にUSHを取り扱っています。5月にはリヨンのお店でUSHのローンチパーティを開いてくれたんです。現地のレップがいると僕らでは行き届かないところまでちゃんとやってくれるので助かっています」


marc le bihanで行われたUSHのローンチパーティ。


では、ヨーロッパでの取り扱いは増えているんですか?


「いまフランスだけで取り扱い店は20店舗以上あって、ほかにスイスとオランダ、ドイツにも代理店があります。ヨーロッパではチームっぽい感じでいろいろやってくれています。とはいえ、一気にバッと広げるというよりは、商品セレクトにこだわった店に絞ってやりたいなって思っています」


シルモ出展から3年でそこまで広がるって凄いですね。


「考え方しだいというか、僕は最後の最後まで自分でやろうって思わないんです。レップにお願いしているのもそうだし、お客さんがそこに利便性を感じてくれれば、それもブランドの一部かなと。あと、サングラスコレクションを2014年にリリースしましたが、サングラスはヨーロッパの人たちは必需品で、逆に日本だけではニーズが足りない。結果的にシルモに出展していなかったら、サングラスをアウトプットする場所がなかったと思います」

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USHの2016年のサングラス。

テロは心配だし、怖いけど……。
なにより会場が閑散として欲しくない。

ぜんぜん話が変わりますけど、英語は話せるんですか?


「ほんの少しです(笑)。ビジネス英語はできないので通訳を頼んでいます」


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英語ができないと、シルモのエントリーとか面倒じゃないっスか?


「あ、面倒くさい。サイトに書いてある文言も結構専門的なものもあるし。苦手意識があるかも」


ですよね。僕も10年前にシルモに行ったとき、英語がわからずサイトからプレスのエントリーしたんですが、現地に行ったりガッツリ申請できてなくて(笑)。そのときは自分が書いている雑誌を見せてアピールしてなんとか入りました。僕がエントリーの入力をミスったのが原因だと思いますが、現地でこういうことがあるとビビりますね。


「去年はフランス見本市協会の方に手伝ってもらいました。エントリーの代行じゃないけど、すごいサポート体制が整ってきています」


いまはフランス見本市協会がエントリーを手助けしてくれるらしいけど、それ10年前にやってほしかった(笑)。ちなみに僕としては、デザイナーはもちろん、メガネ屋さんにもガンガン シルモに行ってほしいんですよ。それこそ僕がシルモに行った10年前は、若手のショップを中心に「シルモ行こうぜ!」みたいな空気があって、フランスで旬なメガネ情報を持ち帰ってくるのが最先端だった。で、結局ラルフとへんな写真撮るみたいなカルチャーがあって(笑)。それが、まわりを見ていると最近はシルモに行くバイヤーが減っているように感じて……。自分を含めてもう一回、海外のアイウェアシーンを見ようぜ、みたいな流れになってほしいんですよ。


「シルモに行くとヨーロッパのメガネのデザインの根っこを肌で感じることができます。だから、デザイナーは絶対に行ったほうがいい。それに、日本で見ている海外のブランドって、どこかの代理店とかがセレクトしているし、小さいブランドなら小売店がセレクトしたものになるでしょう。ブランドの立場からすれば、それがすべてではないので、ブランド全体を体感するにはシルモはいいと思います」


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とはいえ、今年はテロが心配ですよね……。

「いまね〜。テロは怖いですし、テロにあう可能性がないとはいい切れない。ただ、僕がいちばんイヤなのはテロの影響で会場が閑散としてしまうことなんです。10年ほど前にSARSが流行ったときにミドに行ったんですが、強烈に人がいなくて殺風景で……。『これキツいな』って思ったのを覚えています。今年のシルモはそうなってはほしくない」


フランスの多くの方は、“いつも通りの暮らしを続けることがテロへ屈しないこと”だと思って、いま暮らしているそうです。


「短い人生ですからやりたいことやっとかないと、後悔だけはしたくないですから。僕ももう44歳ですから、いつまでデザインデザインと言っていられるのか……。生涯現役ではいたいとは思いますが、ちょっと違う位置にも……。とにかく、自分のやりたいことはなるべく早めにはやっておきたいなって思うんです」


どうしたんですか、かまってほしいんですか(笑)。そんなこと言わずに、ジジイになってもバリバリデザインして巨匠になってくださいよ。では今年のシルモ楽しみにしています!

■Silmo Paris information

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