[シルモ行こうぜ!⑥]日本ブランドの6ブースを一挙公開!! 今年のシルモどうでした?前編

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メガネコラム : 018

[シルモ行こうぜ!⑥]日本ブランドの6ブースを一挙公開!! 今年のシルモどうでした?前編

1967年からフランスで開催されているメガネの国際見本市「Silmo Paris(シルモ・パリ)」は、ヨーロッパ最大級のメガネ展示会であり、世界の名立たるハウスブランドが集結するメガネバイヤーの聖地。今回はパリで奮闘していた日本ブランドの6ブースを紹介します!

格子を使ったセミクローズドの
「イエローズプラス」のブース

毎年秋にフランスで行われるヨーロッパ最大級のメガネ展示会シルモ・パリ。 ここではパリで奮闘する日本ブランドのブースを紹介します。実は10年前にシルモに訪れた時は日本ブランドのブースはガラッガラでほとんど客がいませんでしたが、今年は大盛況だったのでホントに驚きました! で、今回は出展していた日本ブランドのみなさんに同じ質問をぶつけて答えてもらいました〜。さて各ブランドの回答はいかに!?


[シルモ行こうぜ!⑥]日本ブランドの6ブースを一挙公開!!  今年のシルモどうでした?前編

■お話を伺った人/YELLOWS PLUS(イエローズプラス)のデザイナー山岸稔明さん。


——シルモに初めて出展した年と回数を教えてください。


「2009年に初めて出展して今年で8回目です」


——今年のシルモ出展での目標や実現したかったことは?


「大きな目的や目標は立てていません。お客様に会えること、喜んで頂けることが目標であり使命でもあるように思っています」


——ブースのデザインや、メガネの見せ方の狙いなどを教えてください。


「商品の展示はせず敷居を高くすることでお客様の選別を図っています。また、商談に集中していただけるように、外からも中からも見えにくいブースデザインになっています。外装は和をイメージして格子を使い、ブランドロゴは小さく控えめにすることで、しとやかでありつつもクールな印象にしました。とはいえ、実は4年前まではチラ見せもない完全クローズでしたが、ブランドの世界観をもっと見せられないかな……ということでのチラ見せスタイルにリニューアルしました。今でこそ不安はありませんが、最初の頃は『誰も見てくれないのでは?』と怖くて不安で仕方がなかったことを思い出します。露店のように並べてしまったら日本製としてのブライドもワクワク感も失ってしまうと言い聞かせていました。懐かしいです(笑)」


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——今年のシルモではどんな成果がありましたか?


「イエローズプラスの取扱店の方の再来率が高く維持できたこと、リストアップした新規店の成約があったことです」


——バイヤーからの評価は? 具体的なコメントを教えて下さい。


「デザインと高い品質が備わっている貴重な日本製!」
「美しく一貫性のあるデザインだね」
「誰にも教えたくないブランドだよ」
「有名にならないで欲しい……」
などです。


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TRACY/COL.431 3万8000(税抜)


——日本ブランドがヨーロッパで成功するには、なにが必要だと思いますか?


「わかりません。誠実で謙虚であることだと思っています」


——日本とヨーロッパのメガネ文化の違いを教えて下さい。


「北ヨーロッパは日本市場に感覚が近く、コンサバなデザインやメタル製を好まれます。南ヨーロッパは、日本では……と思われるようなアバンギャルドでエネルギッシュなデザインを好まれるショップの割合が高いと思います」


——日本とヨーロッパでメガネトレンドの違いは感じましたか?


「トレンドにおいて違いやタイムラグを感じたことはありません。強いて挙げれば、旬なラウンドシェイプに関しては、日本は丸メガネという抵抗感が残っており、浸透や広がりに勢いがないように感じられます」

アッシュからリブランドした
「ユウイチ トヤマ」のブース

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YUICHI TOYAMA(ユウイチ トヤマ)の外山雄一さん


■お話を伺った人/YUICHI TOYAMA(ユウイチ トヤマ)のデザイナー、外山雄一さん


——シルモに初めて出展した年と回数を教えてください。


「2013年からで今年で4回目です。シルモに出展してまだ4回目ですが、フランスのシルモ展ホームページとフランス見本市協会のスタッフの方々の連携が充実し、申し込みや決済が簡易的に行えるようになり年々便利になってきていると感じています」


——今年のシルモ出展での目標や実現したかったことは?


「過去3回USH by yuichi toyamaで出展し、今回初めてリブランドしたYUICHI TOYAMA(ユウイチ トヤマ)という新たなイメージとデザインをダイレクトに伝えることです」


——ブースのデザインや、メガネの見せ方の狙いなどを教えてください。


「サングラスコレクションYUICHI TOYAMA [S]のShadowレンズのオリジナリティーとコンセプトを強調する照明にこだわりました」


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——今年のシルモではどんな成果がありましたか?


「フランス、ドイツ、スイス、オランダのセールスレップで構成されたEUチームが昨年より本格的に動き出し、シルモ会場やチームディナーでディスカッションしながらチームワークを向上できたことです。このような流れが結果として取り扱いいただいているショップの方々に対してのプレゼンテーションやサービスに繋がると信じています!」


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右は「LUNAKT」というフランス代理店のAhmed Blili氏


——バイヤーからの評価は? 具体的なコメントを教えて下さい


「Shadowレンズを褒めて頂けることが多かったです。実はレンズが1枚でできてるとプレゼンするのが楽しみでしょうがなかったです!」


——日本ブランドがヨーロッパで成功するには、なにが必要だと思いますか?


「ムダなことはひとつもないと信じ、私自身も模索してます」


——日本とヨーロッパのメガネ文化の違いを教えて下さい。


「ヨーロッパの方々はデザインやカラーに対して、日本の方々はベーシックに対しての審美眼を持っていると感じます。ブランドや生産背景の方向性もリンクしてるところにメガネ文化を感じますね」


——日本とヨーロッパでメガネトレンドの違いは感じましたか?


「年々トレンドに対しての国境がなくなっているように感じます」

新作のメタルフレームが好評価!!
「ボビーシングススタンダード」のブース

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ボビーシングススタンダードの森山秀人さん


■お話を伺った人/Bobby Sings Standard,(ボビーシングススタンダード) のデザイナー森山秀人さん


——シルモに初めて出展した年と回数を教えてください。


「2014年で3回目です」


——今年のシルモ出展での目標や実現したかったことは?


「主にヨーロッパの小売店およびディストリビューターの新規獲得です」


——ブースのデザインや、メガネの見せ方の狙いなどを教えてください。


「New modelを含めたチタンフレームのグループと定番的なコンビネーションフレームのグループと大きく2つの島に分け、いまブランドが向かっている方向性を明確に打ち出せるディスプレイとしました」


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——今年のシルモではどんな成果がありましたか?


「フランス、スペイン、ベルギーなどヨーロッパの小売店との新規取引決定や、オランダのディストリビューターとの交渉継続など、数字の上でも昨年を上回りました」


——バイヤーからの評価は? 具体的なコメントを教えて下さい。


「New modelのコレクションを見たスペインのバイヤーが『これはまさに2017年のデザインだ!』と言ってくれました。そこに込めた先見性がきちんと伝わったようでとても印象に残っています」


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BRX-12 4万円(税抜)


——日本ブランドがヨーロッパで成功するには、なにが必要だと思いますか?


「まだ大した展開はしていないので何とも言えないのですが、ウチのような小さなブランドは代理店やレップ云々というよりは、インスタグラムやFacebookなどのSNSを媒介した直接的で時差のないやりとりに未来があるような気がしています。また、出展の面でも、我々のような個人ベースで活動しているブランドはフランス見本市協会のサポートなしにはここまでスムーズに物事が運ばないように思います」


——日本とヨーロッパのメガネ文化の違いを教えて下さい。


「昔から変わらないと思うのは欧米におけるプラスチックフレームの定番性と身につけるカラーの豊富さ、サングラスの日常使いです」


——日本とヨーロッパでメガネトレンドの違いは感じましたか?


「大きな違いはなく相変わらずクラシックベースなデザインがトレンドだと思いますが、ヨーロッパではシートメタルなどのミニマルなデザインも定番的人気を保っているように感じました」

フルオープンで誰もが見やすい!
「ファクトリー900」のブース

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過去2回シルモドールを授賞したファクトリー900の青山嘉道さん


■お話を伺った人/FACTORY900(ファクトリー900)のデザイナー青山嘉道さん


——シルモに初めて出展した年と回数を教えてください。


「2006年からで11回目です」


——今年のシルモ出展での目標や実現したかったことは?


「10 年間どこにも任せずに全てお店とダイレクトに商売してきましたが、今回からは販売先を広げるためにエージェントの獲得を目指しました」


——ブースのデザインや、メガネの見せ方の狙いなどを教えてください。


「より多くの人ファクトリー900の存在を知ってもらうために、オープンなブースにしています」


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——今年のシルモではどんな成果がありましたか?


「イタリアにおけるエージェントが決まりました!」


——バイヤーからの評価は? 具体的なコメントを教えて下さい。


「この10年の出展により、ヨーロッパで多くのファンを獲得しています。みなさん楽しみに来場してくださり、新作を見せるとみな一様に笑顔になります」


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FA-350 col.001 3万8000円


——日本ブランドがヨーロッパで成功するには、なにが必要だと思いますか?


「明確なブランドアイデンティティーを持つこと」


−−日本とヨーロッパのメガネ文化の違いを教えて下さい。


具体的に答えるのはとても難しいですが……大きな違いを感じています。


−−日本とヨーロッパでメガネトレンドの違いは感じましたか?。


トレンドに関しては、基本的には同じではないでしょうか。

古い物を壊さずに生かした
「ボストンクラブ」のブース

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左からボストンクラブの小松原みづきさん、牧野芳晴さん、山根 剛さん


■お話を伺った人/BOSTON CLUB(ボストンクラブ)のプレス小松原みづきさん


——シルモに初めて出展した年と回数を教えてください。


「ボストンクラブとしては2013年からで、今年で4回目です。ジャポニスムは1998年から出展していました」


——今年のシルモ出展での目標や実現したかったことは?


「イギリスやドイツなど、未開拓の国での代理店またはレップ、新規直販先獲得です」


——ブースのデザインや、メガネの見せ方の狙いなどを教えてください。


「木のカウンターに本物の錆びたトタンを貼り付け、ブランドのコンセプトを表現しました。日本にもフランスにもありますが、古い物を壊さず生かして新しいものを作るという考えも、反映したつもりです(笑)。グレーの壁や小さめのロゴで全面に打ち出さず、日本特有の控え目な感じを出しました。ジャポニスム時代は商品を見せないブースでしたが、ボストンクラブではキレイに並べて見せるブースに変更しました。これにより足を止めて商品を見てくれるバイヤーの数は一気に増え、まずは直販でスタートし、フランス代理店も見つかりました。来年はブースを一新します!」


[シルモ行こうぜ!⑥]日本ブランドの6ブースを一挙公開!!  今年のシルモどうでした?前編

——今年のシルモではどんな成果がありましたか?


「フランス代理店に引き続き、イギリス・オランダ・ベルギー・ルクセンブルクでの代理店が決まりました。フランスは代理店がバイヤーを連れてきてくれたので、実際に国内営業にまわることができない部分を補えました」


——バイヤーからの評価は? 具体的なコメントを教えて下さい。


「フランスではすでに有名な日本のブランドはいくつかありますが、ボストンクラブはまだまだ認知度の低いブランドです。しかし、実際に商品を見てくれたバイヤーは、メイドインジャパンのクオリティの良さと完成度の高さに納得してくれました。モデルによってはヨーロッパ市場では厳しいものもありましたが、基本的には細めのメタルや繊細なコンビが人気でした。金型を再利用することで価格も抑えているのも、バイヤーに説明すると喜んでくれました」


[シルモ行こうぜ!⑥]日本ブランドの6ブースを一挙公開!!  今年のシルモどうでした?前編

JAMES 2万6000円


——日本ブランドがヨーロッパで成功するには、なにが必要だと思いますか?


「商品に関しては日本のブランドだからと日本の感性だけでモノづくりをすることは避けたいです。適度に日本(作りや完成度など)を残しつつ、サイズ感や色などは現地の意見も取り入れる。逆にブランディングに関してはジャパンブランドということをアピールするツールがないと、伝わらないかなと。特に『BOSTON CLUB』というブランド名なので(笑)。商品の良さに関しては見ていただければ伝わるはずなので、ここを強化していくことが必要だと感じました」


——日本とヨーロッパのメガネ文化の違いを教えて下さい。


「日本ではオシャレの一部としてクラシック系のフレームを掛けることが多いような気がしますが、ヨーロッパではそれが普通というか当たり前のように感じました。ファッションアイテムではなく、目が悪いから視力矯正器具として使っているだけ、なのにオシャレに見えます(笑)」


——日本とヨーロッパでメガネトレンドの違いは感じましたか?


「デザイン的にはほぼ一緒だと思いますが、日本では小さいフレームを掛けている人が多いような気がします。特に女性は、顔より大きいものを掛けるといわゆるギャルっぽくなってしまうのが、ヨーロッパの女性は大き目のフレームを普通に掛けこなしています。日本はメイクやファッションが独特だからでしょうか? 意外とヨーロッパの方でも頭が大きいようで、ボストンクラブは小さいと言われました……。まだまだクラッシック系が主流ですが、こう何年も続くとトレンドが定番になり、どのブランドも手探りで新しいものを探している感じがあります。これだけ多数のブランドがあるので違いを出すのも容易ではないと思います」

ブランドを表現したH型!?
「エイチ-フュージョン」のブース

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エイチ-フュージョンの毛利勝博さんと、ブースを手伝っていたパリの大学生Tomoka Sumiki Ferrariさん


■お話を伺った人/H-fusion(エイチ-フュージョン)の企画兼デザイナー毛利勝博さん


——シルモに初めて出展した年と回数を教えてください。


「2016年です。エイチ-フュージョンとしては今年で初めてです。スペックエスパスは2010年と2011年の2回出展しています」


——今年のシルモ出展での目標や実現したかったことは?


「エイチ-フュージョンでの出展は初めてのため、商談ではなく商品を展示して認知してもらうことです」


——ブースのデザインや、メガネの見せ方の狙いなどを教えてください。


「ブランドを認知してもらうために、商品は全モデル展示して什器はHの形で作成しました」


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——今年のシルモではどんな成果がありましたか?


「認知してもらうことを目標にしていましたが、ヨーロッパではフランス、ドイツツ、スイス、スペイン、オランダの小売店から受注できました。また他諸国からの代理店のオファーもいただけました」


——バイヤーからの評価は? 具体的なコメントを教えて下さい。


「品質が非常に高く、サイジングもベストサイズとの評価をいただけました」


[シルモ行こうぜ!⑥]日本ブランドの6ブースを一挙公開!!  今年のシルモどうでした?前編

HF-502 3万8000円


——日本ブランドがヨーロッパで成功するには、なにが必要だと思いますか?


「自分たちの考え方や方針を理解していただけるパートナーが必要だと思います」


——日本とヨーロッパのメガネ文化の違いを教えて下さい。


「フレームだけでなくサングラスも同等に必需品と考えられており、サングラスコレクションも重要視されているところだと思います」


——日本とヨーロッパでメガネトレンドの違いは感じましたか?


「デザインだけでなく素材にも敏感で、特にエコ素材や自然素材などはプライオリティーが高いと感じました」


——というわけで、シルモで活躍する6つの日本ブランドのご紹介でした! みなさん考え方も見せ方も商売の仕もに違いがあって面白いですね。とはいえ、今回はちょっと真面目にやり過ぎました(笑)。ちと反省です……。次回は引き続きの6つの日本ブランドのブースを紹介します!

Silmo Paris ACCESS
シルモ・パリ アクセス

  • ■会場
  • Parc des Expositions de Paris-Nord-Villepinte
  • パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
  • ■無料シャトルバス
  • ・ポルト・マイヨー駅前のBoulevard Pershing(ペルシング通り)大型バス駐車場より出発。所要時間は約40分
  • ・シャルル・ド・ゴール空港より出発。所要時間は約15分
  • ■電車
  • ・空港より。RER B線「Parc des Expositions(パルク・デ・ゼクスポジション)駅」で下車。空港ターミナル1駅の隣の駅です
  • ・パリ市内より。電車RERのB3線「Roissy-Aeroport Charles-de-Gaulle(ロワシー・アエロポール・シャルル・ド・ゴール)」方面の終点のひとつ手前「Parc des Expositions(パルク・デ・ゼクスポジション)駅」を下車

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