[シルモ行こうぜ!⑧]主催者エリック・ルノワール氏に直撃! シルモに関する9つの質問

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[シルモ行こうぜ!⑧]主催者エリック・ルノワール氏に直撃! シルモに関する9つの質問

1967年からフランスで開催されているメガネの国際見本市「Silmo Paris(シルモ・パリ)」は、ヨーロッパ最大級のメガネ展示会であり、世界の名立たるハウスブランドが集結するメガネバイヤーの聖地。シルモ連載の最後を飾るのは、主催者であるエリック・ルノワール氏です! シルモに関する9つの質問にお答えいただきました。

アンとジュラ、仏二大メガネ産地から
約50年前にシルモ展が誕生した。

毎年秋にフランスで行われるヨーロッパ最大級のメガネ展示会シルモ・パリ。2017年に50周年を迎えますが、今回は主催者であるエリック・ルノワール氏にお話を伺いました!


Q1
——1967年にシルモ展がスタートしたいきさつや、当時のメガネ業界の時代背景を教えください。


A1
「シルモ展は1967年5月にフランス東部のオヨナでスタートしました。1960年代はフランスのメガネ産業が世界でいちばん栄えていた時期で、主な生産拠点が2つあったのです。プラスチック産業が盛んだったアン県の都市であるオヨナと、国際的に金属産業で有名だったジュラ県の都市であるモレに、メガネ工場が散在していました。この2つの生産地域が『世界中にもっと自分たちの技術を知ってもらいたい』と、共に立ち上がり、共同でシルモ展を創設したのです」


Q2
——プラスチックとメタルという2つのメガネ生産地域からシルモ展が生まれたのは興味深いエピソードですね。では、第1回のシルモ展はどんな展示会だったのでしょうか?


A2
「当時の記録によると、最初のシルモ展は1500㎡のホールに58の出展者を迎え入れたそうです。参加者の話によれば、今と比べて各ブースは比較的小さく、コンセプトも割とシンプルなものだったようです。ただ、商談やイベントのスタイルは、当時から今のシルモ展にもつながるような雰囲気や特性をもっていたそうです。残念ながら第1回の来場者数などの数字は持ち合わせていませんが、ひとつ確実に言えることは『商談したほぼすべての来場者がシルモ展で製品を購入していた』ということ。また、アメリカ合衆国への輸出がとりわけ多かったので、第1回シルモ展は、当時すごく勢いがあった北米市場開拓に大きく貢献しました」


Q3
——第1回開催の1967年から現在まで、半世紀の間でシルモ展が拡大・成長したタイミングがあったと思います。それがいつ頃なのかと、当時の時代背景を教えていただけますか。


A3
「シルモ展は何度か地方で開催した後、1981年からパリで開催されることになり、1990年代の終わりから2000年代の初めにかけて特に大きく成長しました。この時期、メガネ業界はファッションやデザインの業界にも入り込んでいきましたし、コメクスポジウム社(イベント運営などを手掛ける世界的企業)がシルモ展と協業することとなり、1996年に『ビレッジ』制(ハウスブランドが集結したエリア)を展示会に導入して大きな成功を収めたのです。また、当時の時代背景として忘れてはならないのが、人々の高齢化によって欧米のメガネ市場が大きく成長していたこと。同時に眼鏡光学の分野に、多くの新興市場が登場していました。このようにしてシルモ展は国際展示会のリーダー的存在となったのです」


シルモ行こうぜ!⑧ 主催者のエリック・ルノワール氏に直撃! シルモに関する9つの質問 2

Q4
——なるほど。90年代後半から2000年代というと、日本でメガネのセレクトショップが生まれて、ハウスブランドが入ってきた時期とリンクしていますね。ところで、フランスのメガネは単純に視力矯正のための道具だけではなく、ファッションや文化などの要素があると感じています。フランス人にとってメガネとはどんな存在でしょうか?


A4
「フランスは日本やイタリアと同様に、メガネ産業で長い歴史と伝統をもつ国です。一方で、alain mikli(アラン ミクリ)やJ.F.REY(ジェイエフレイ)など、いくつかのフランスブランドは1980年代に斬新なデザインを打ち出し、プロダクトの変革に貢献しています。つまり、フランスのメガネは伝統を重んじながらも常に変化しているんです。そして、レンズ業界の世界的リーダー企業の大半がフランス企業であること、最初の流通組織が生まれたのも、チェーン店やブランドが生まれたのも、すべてフランスであることを忘れないでくださいね。これらすべての要素が、現在のフランスのメガネ業界が世界的に高く評価されていることにつながっているんです。なによりフランス人はメガネが大好きです!」

シルモ展でもっとも大事にしているのは
「パッション」である。

シルモ行こうぜ!⑧ 主催者のエリック・ルノワール氏に直撃! シルモに関する9つの質問 3

Q5
——ここからは現在や未来の話をお聞かせください。いま、シルモ展で大切にしている想いはなんでしょうか。


A5
「それは『パッション(情熱)』ですね! メガネ職人が日々創作にかけている情熱、生産・工業分野を担う人々が、メガネを着用する人の付け心地の良さや目の健康の分野において、進歩し続ける技術の研究開発にかけている情熱。これらをとても大切にしています。シルモ展はこれらすべてのエネルギーが集結し、進化していく場所なのです」


Q6
——パッションですか、それは素晴らしい! 日本のメガネ業界も情熱だけは負けていませんよ。ちなみにシルモ展はイスタンブールでも開催されていますが、その狙いはなんでしょうか?


A6
「今日、シルモ展は世界でも有名なメガネ展示会になりました。すべての企業と同様、私たちも自分たちのノウハウを世界に広めたいですし、お客様に新たなビジネス上の販路拡大を提案していきたいと思っています。私たちはシルモ展を他の地域に展開していくにあたり、『成長が見込める』『地元の業界関係者がダイナミックである』『その土地が開催地として魅力的である』という様々なポテンシャルを持っているかという観点から、市場を慎重に選択しています。『シルモ・イスタンブール』はこれらのポテンシャルをもつ、数ある国のなかのひとつである、トルコで行われます。トルコは、成長性がもっとも期待されている地域のひとつですし、『シルモ・イスタンブール』は同時に、中央アジア、中近東、北アフリカ地域からの来場者を迎え入れる重要な拠点となります。また、トルコで眼鏡光学製品を製造する産業が大きくなりつつあるのを、この目で実際に確かめることができるのも非常に興味深いです。また、私たちは2017年3月にはシルモ・シドニーを開催する予定ですよ」


Q7
——シルモ・シドニーは楽しみですね! では本家であるシルモ・パリの今後のビジョンは?


A7
「シルモ・パリは、眼鏡光学での創造と革新の分野において、もっとも重要なビジネスの出会いの場となっています。2017年には、世界でもっとも古いメガネの展示会としてシルモ展は50周年を迎えます。今後10年間の業界のトレンドを知らせる良い機会となるでしょう。私たちのいちばん重要なミッションのひとつは、出展者や来場者の方々に、製品を検索し常に効率的にバイヤーと出展者を結び付けるツールを提供することなのです」


シルモ行こうぜ!⑧ 主催者のエリック・ルノワール氏に直撃! シルモに関する9つの質問 4

Q8
——そのなかで日本の出展者やバイヤーへ伝えたいメッセージはありますか?


A8
「日本のブランドやデザイナー、バイヤーの方々には、古くからシルモ・パリとお付き合いいただいているお得意様です。日本のメガネ業界は長い歴史と伝統があり、フランスと似ているのでシルモ展に日本からの参加者の皆様を迎えるのは、いつもとても嬉しく思います。出展者にとって、シルモ展は製造ブランドが新しいバイヤーに出会い、ビジネスを発展させていくための場所ですよね。それは同時に、“ライブ”で競合他社と競い合い、自分たちの製品を試す場所でもあります。また、バイヤーの方々にとってシルモは、ビジネスでのインスピレーションの源でもあり、実際の商談の場としても魅力的な場所なのです」


Q9
——“ライブ”というのはナイスな表現ですね。シルモで切磋琢磨しているブランドのリアリティを感じます。そうそう、シルモ展は来年で50周年ですよね。おめでとうございます! 最後の質問ですが、50年間も続けることができた要因はなんだったと思われますか?


A9
「ありがとうございます。シルモ展をはじめとした産業見本市や展示会は、業界関係者のための専門的なツールです。人々は、対面での(ビジネスの)出会いの場を必要としています。今日の私たちのデジタル化された環境においては、インターネットやメールを通じて迅速かつ効率的にコミュニケーションをとることができますよね。しかし、人間のコミュニケーションとは原始的なもので、最終的には対面での出会いが重要になります。50年間もシルモを続けることができているのは、私たちが展示会を重ねるごとに常に課題に向きあい、未来に必要なものは何かを先読みし続けてきたからでしょう。シルモ展の運営チームは、自分たちの職業に誇りをもち、パッションをもった人たちばかりが集まっています。彼らはきっとこれからもシルモの素敵なストーリーを紡いでいってくれると思います! どうぞご期待ください」


シルモ行こうぜ!⑧ 主催者のエリック・ルノワール氏に直撃! シルモに関する9つの質問 5

はい、来年も再来年も期待しています! お忙しいなか貴重なお時間をいただきはありがとうございました。 さて、2017年は遂にシルモ生誕50周年を迎えます。エリック・ルノワール氏が話してくれたように、情熱をもった日本のブランドやバイヤーが素敵なストーリーを紡いでくれることを期待しています!

Silmo Paris ACCESS
シルモ・パリ アクセス

  • ■会場
  • Parc des Expositions de Paris-Nord-Villepinte
  • パリ・ノール・ヴィルパント見本市会場
  • ■無料シャトルバス
  • ・ポルト・マイヨー駅前のBoulevard Pershing(ペルシング通り)大型バス駐車場より出発。所要時間は約40分
  • ・シャルル・ド・ゴール空港より出発。所要時間は約15分
  • ■電車
  • ・空港より。RER B線「Parc des Expositions(パルク・デ・ゼクスポジション)駅」で下車。空港ターミナル1駅の隣の駅です
  • ・パリ市内より。電車RERのB3線「Roissy-Aeroport Charles-de-Gaulle(ロワシー・アエロポール・シャルル・ド・ゴール)」方面の終点のひとつ手前「Parc des Expositions(パルク・デ・ゼクスポジション)駅」を下車

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