シルモ・パリ2017に出発直前のYUICHI TOYAMA. 外山雄一さんに「これから」の話を聞いてきた。

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メガネコラム : 024

シルモ・パリ2017に出発直前のYUICHI TOYAMA. 外山雄一さんに「これから」の話を聞いてきた。

TOKYOを代表するブランドとして日本だけでなく海外でも評価が高いYUICHI TOYAMA.
昨年は仏のメガネ国際見本市「Silmo Paris(シルモ・パリ)」に出展して大盛況でしたが、
今回はパリ出発直前の、デザイナーの外山雄一さんに「これから」の話を聞いてきました!

グローバルスタンダードになる
日本のデザインをつくりたい。

2017年で50周年を迎える「Silmo Paris(シルモ・パリ)」は、世界最大級の国際見本市であり、名だたるハウスブランドが集結するメガネバイヤーの聖地です。昨年に続き、シルモ・パリへの出発を目前に控えたYUICHI TOYAMA.のデザイナー、外山雄一さんに、「これから」の話を伺います。去年はブースを取材しましたが大盛況でしたね。今年の出展ではなにか工夫はありますか?


シルモ・パリ2016の会場YUICHI TOYAMA.のブース。

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インスタ映え確実な、YUICHI TOYAMA.のサングラス。

「今年のシルモでは半分クローズドのブースにしようと思っています。というのも、海外のうちのスタッフはデザインに対してのセキュリティ意識が凄く高いんです。そういった事情もあって、今回は日本的な『のれん』でブースをつくろうと思っていて。のれんっていいじゃないですか。半分開放的で半分見えないような。上から下まであるような、結構長いやつを使います」


アレですよね? ラブホテルの駐車場入り口にある、のれんみたいなビラビラのゴムのやつ。


「まったく違いますよ(笑)。いま、スタッフのジョーくんが友だちと25mののれんをつくってくれていて。手作りですが力作ですよ」


それは失敬。ちなみに、毎年シルモに出展する狙いはなんですか?


「日本というバックグラウンドをもつデザインを、海外で認めてもらいたいからです。たとえば、とらやがパリで凄くカッコいい店を出して成功しているように、日本人が海外のフォーマットに沿って活躍するというよりは、日本の良さをちゃんと持って行き評価されることがクールだと思っていて。ただ、昔のままの工芸品のような表現はしたくない。グローバルスタンダードの目線で、日本を表現したのが次の新作モデルやブースなんです。ブランドとしては、シルモでちゃんとしたブースを出すことは、対フランスというより、“対全世界”にアウトプットする場としてとらえています」



それだけに気合充分ですね。また、これまでのように品質だけでなく、デザインでも日本のメガネが評価されているのは、シルモの現場に行くと感じますね。ところでシルモは何年目でしたっけ。


「今年で5年目です。毎年、海外の展示会に出ると“宿題をもって帰る”感じなんですよ。少し前から日本のメガネがフランスでちょっとトレンドになっていて、日本ブランドのメガネがマレ地区などのメガネ店でも置かれているんですね。そこで自分の商品が置かれているのを見たときに、うちをふくめて“全部が似通っている”感じがして。みんなコンビだし、黒とデミばかり。そこにすごい違和感を感じたんです」


う〜ん、みんなが同じ方向をむいて同じものをつくっていくと、買う方は楽しくないですよね。


「はい。それに、もっと日本でもいいものがいっぱいあると思うんです。これまで、メイド・イン・福井がメイド・イン・ジャパンのメガネとなって世界に発信されてきました。そんな時代背景のなかで、僕は東京から発信するメイド・イン・トーキョーのメガネをデザインしていきたいんです」


代官山にYUUICHI TOYAMA.の
ショールームができる?

話を伺いながら、次のシルモで発表する新作を見せてもらいました。全14型でそれぞれカラバリやサングラスもあり。ダブルダッチの新たなレンズシェイプや薄いプラスチックフレームの「CONFINE」シリーズなど、どれも手抜きなしのキレッキレのデザインばかり。実に素晴らしい。ちょっと外山さん、“生き急ぎ過ぎ”じゃないですか?



「いや、もう45歳ですから、自分がやれることはすべてやっておこうと(笑)。実は12月には代官山にYUICHI TOYAMA.のショールームがオープン予定です。「THE LOBBY TOKYO」という名前で、メガネのケアセンターをやるんです。メガネって1万円以内で買えるものがあれば、フレームだけで3万円以上のものもある。その差をエンドユーザーの方に身をもって体験してもらえる場をつくりたいんです。時計とかって、しっかりケアが整っていて、オーバーホールして新しく生まれ変われるじゃないですか。メガネブランドとしてそういうことがしたくて。YUICHI TOYAMA.を買っていただいたお客さんにはそういった体験をしてもらいたいと考えています」


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12月オープン予定の「THE LOBBY TOKYO」のイメージパース


メガネのケアセンターって変わった形態ですね。


「メガネのメンテナンスに加えてカフェもやりたいと思っています。美味しいコーヒーを飲みながらリラックスした環境で、メガネというプロダクト、YUICHI TOYAMA.を体験してもらいたいんです。なので、エスプレッソマシーンやコーヒー豆にもこだわるつもりです。僕みたいなインディペンデントなブランドは、まだまだ表現するべきことがたくさんあると思うんです」


インディペンデントなブランドがやるべきこととは?


「たとえば、表通りと裏通りがありますよね。表通りの店は家賃が高いし、それなりの売り上げをサイクルさせていかないと維持することができないですよね。その在り方や考え方はメジャーだと思うんです。裏通りにあるインディペンデントの場合は、そこまで家賃は高くなく、商売の規模も小さいけど、そのぶん自分たちの想いをプロダクトにのせることができる。うちはインディペンデントなブランドだから、売れるからこれをやろうじゃなくて、やりたいことをやる。そこのマインドは大事にしていきたいです」


ミュージシャンのマインドに近いものがありますね。メジャーデビューして、売れればいいのか、みたいな。


「もちろん売れるものも大切で、僕は表通りも裏通りも生活のうえで必要だと思っていて。表通りを歩いていたけど、一本横に入った裏通りにも面白いものがあるねって気づいてもらう。そうやって人が行き来することがメガネ業界のこれからあるべき姿だと思います」


なんだかスケールの大きなイイ話をしてくれるじゃないですか。やっぱり生き急いでますよ、外山さん(笑)。この秋のシルモや日本での展示会を楽しみにしています!

■BRAND

■インフォメーション

  • 2017年は10月6日(金)〜10月9日(金)まで開催
  • 「Silmo Paris(シルモ・パリ)2017」
  • http://en.silmoparis.com/
  • シルモのエントリーも手伝ってくれる
  • 「フランス見本市協会」
  • http://promosalons.cc

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